キミよりも高いセカイ

 たぶんもう2、3時間は経ったかなぁ…。


 昇降口のある方から声がする。もう放課後らしい。


 どうしよう、このまま出られなかったら。4月はまだ寒い。


 しかも、私昨日あんまり寝てなかった…な…。



「…ね、おい青峰!起きろ!」


 大きな声で呼ばれて、少しずつ意識が戻っていく。


 そして、抱きしめられた。体があったまって、意識がはっきりとした。


「大倉、くん…?」


 私を抱きしめていたのは大倉くんだった。


 私の声を聞いた大倉くんは、ガバッと一旦私から離れて、


「青峰!…よかった、無事か?」


 と、私の顔を覗き込む。彼の目は赤かった。


 泣いてた…?


「大倉くん、探してくれたの?」


「あぁ、5、6時間目いなかったし…。あとお前とあんまり仲良く無い…ってか話したところ見たことない女子たちが、お前が保健室だっていってたから」


 なんで。…なんでそんなに私のことを見てくれてるの?なんでこういう時に、助けてくれるの?


「もう、かっこいいよ…」


 …え、私今なんて言った?え、かっこいいって言った!?


 やばい、私めちゃめちゃ弱ってる!


「いや、あの、その…」


「青峰。そういうことは彼氏以外にはあんまり言うなよ。…俺だから良かったけどさ」


 え、彼氏…?


「俺、先帰るな」


 そう言って、大倉くんは走って行ってしまった。


 うそ、私好きになって早々フラれた…?