テスト1日目が終わり、続きはまた明日となった。


「井下、話がある。来い」


 昼休み早々に大倉くんが井下くんに話しかけた。


「わかった」


 井下くんがそう言うと、2人は揃って教室を出て行った。


 大倉くん、どうしたんだろう。



「お前アイツに何をした!?」


 風の吹く屋上。俺は井下との距離を詰めた。


「なにって、…まぁちょっとね」


 と、井下は不敵に笑う。


「まさかっ…!」


「そう、そのまさかだよ。…だから邪魔しないでよ。僕たちのことに君が割り込む権利なんてないからさ」


 いつもの井下とはかけ離れたような冷たい目が俺をとらえる。


「じゃあね」


 井下はそう言って、屋上から出て行った。


「クソッ…!」


 アイツが去って、誰もいなくなった屋上で、俺の声だけが、空に消えた。