余命宣告された君と恋をした

「よろしくね」

そう君が話しかけてくれたのが出会いだった。

君と話すのがとても楽しかった。

でも……。

幸せの終わりは近づいていた。






「おはよー!」

みんながそんなことを言っている中、僕、加賀春樹(かがはるき)は静かに読書をしていた。

僕は人と関わるのが好きじゃない。

だって、いじめられたことがあるから。

だから誰にも興味を持てない。

それに地味な恰好をしているから誰も話しかけてこない。

さっきまでは。

チャイムが鳴り、先生が入ってくる。

それと同時に見かけない生徒も入ってきた。

「初めまして、一ノ瀬華怜(いちのせかれん)です」

そんな転校生の声にみんなが騒ぐ。

まぁ、無理もなかった。

その転校生は美人だった。

顔が整っている。

そのことに興奮しているのか男子も女子もうるさい。

はぁ。

そんなため息をつきながら、外を眺める。

「よろしくね」

気が付くと何故か転校生が隣にいた。

男子からの視線がすごい。

「……よろしく」

ごく普通な返事をして、またすぐに外を向いた。

その転校生からの視線に気が付かずに。



「一ノ瀬さんの趣味って何?」

そんな女子達の声が聞こえる。

隣から。

女子の声は甲高いものが多いから好きではない。

しょうがない。

他のところで読書をするか。

そう席を立った時。

「はー君!」

一ノ瀬に声をかけられた。

周りの視線が一気に来る。

僕のこと、だよな。

「……何」

「私の事、覚えてない?」

少女漫画みたいなことを言われた。

そんなことを言われても全く知らない。

「知らない」

そう言って教室をでた。

休憩が終わり、教室に戻るとみんなの目線が変わっていた。

一ノ瀬を見ると、目元が腫れている。

……泣かせたか。

席に着くと一ノ瀬が話しかけてきた。

「ごめんね、変なこと言って」

弱々しく笑う一ノ瀬を見ると何故か胸が痛くなった。

わからないけど謝っておいた方がいい気がする。

「いや、こっちこそ泣かせたならごめん」

僕が謝ると一ノ瀬は目を丸くする。

すると急に微笑んだ。

「なにか変な事言った?僕」

「ううん、はー君は変わらないなって思って」

たしかに昔は謝る癖があった。

でもなぜ一ノ瀬が知ってる?

それに……。

「そのさ」

はー君って呼び方、何?

そう聞こうとしたけど出てこなかった。

何か忘れてる気がする。

大切なことを。

一ノ瀬は首を傾げている。

「ううん、なんでもない」

思い出してやる。

絶対に。