背中越しの王子様

「シロ、どうしたの?元気ないよ」


 学校に行くと、朝会ってすぐにヒマリに心配された。


「あのね…この前の文化祭の日さ…」


 そして私はその日の出来事を全部ヒマリに話した。


「シロ…」


「なに…?ヒマリ」


「それはダメだよ!」


 体を乗り出して来たヒマリに怒られた。


「だって、王子様はシロがなんで帰ったのか知らないでしょ?」


 確かに私はあの日帰った理由を先輩に言っていない。


「…たぶん王子様は急にシロに帰られて、急にシロと連絡が取れなくなったって思ってるよ!」


「…やっぱ言った方がいいのかな」


「その方がいいに決まってるよ!…今日は王子様と話したの?」


 今日私はお母さんに車で送ってもらった。


 別に寝坊したわけではない。単純に先輩に会いたくなかっただけ。


 でも、このまま先輩と話せなくなるのは、イヤだ。


「私…明日先輩に話すよ」


「うん!頑張れ!」