背中越しの王子様

 先輩遅いな。もう5分以上経ってる。


 すこし不安になって、体育館の角の向こうを見ると、


「あっ…」


 先輩が綺麗な女の人と楽しそうに話していた。


 2人からは大人のオーラみたいなのが見えて、近づくに近づけなかった。


 あぁ、やっぱり…。


 楽しそうな文化祭の雰囲気と私の間に、壁があるように感じた。


 私は一歩も動けなかった。