背中越しの王子様

「シロ、あれから王子様とはどうなの?」


「うーん…連絡先は交換できたんだけど、まだ特には何もないかな…」


 連絡先を交換して3日ほど経っても、最初の『よろしく!』から何も送ってないし、送られてない。


「先輩がS高校ってことはわかったんだけど…」


 ちょっとストーカーみたいだとは自分でも思ったけど、先輩の着ていた制服から分かった。


「そっか…あ!」


 スマホをあたりながら私の話を聞いていたヒマリが、急に大声を出した。


「え、どうしたのヒマリ」


「ちょ、シロ、これ見て!」


 ヒマリの差し出したスマホを見ると、


「なになに…"S校祭、開幕!"…?」
 

「そうだよ!王子様の高校、今週の土曜に文化祭だって!…一般公開してるみたいだし、行ってみれば?」


「え、でも迷惑じゃ…」


「そんなことしてたら進展なんてしないよ。行動しなくちゃ!」


「…分かった。私、行ってみる!」


 ヒマリの言葉に背中を押された私は、先輩の高校の文化祭に行くことにした。