背中越しの王子様

「月宮先輩、おはようございます!」


「マシロちゃん、おはよう」


 私はあれからしっかりと余裕を持って駅に来ている。


 もちろん、先輩に会うためだけどね!


 お母さんにはシロ、どうしたの?って言われちゃったけど。


「あ、先輩、連絡先交換しませんか?」


 先輩と知り合って早2週間ほど過ぎようとしていたが、未だに先輩の連絡先を知らなかった。


 ホントはすぐにでも交換したかったけど、私にその勇気がなかった。


「連絡先?いいよ。…じゃあ、これ」


「ありがとうございます!」


 私は急いで先輩のスマホのQRコードを読み取った。


 しっかりと読み取ったことを確認してからアプリを開くと、"月宮"と書かれた連絡先が登録されていた。


 他にも友達の連絡先があるのに、先輩の名前だけが輝いて見えた。その時、


 ピコンッ。


 と、新着メッセージを知らせる音が鳴った。


 なんだろう?と思いながら見てみると、


『よろしくね』


 と、可愛いスタンプが先輩から送られてきていた。


 私はすぐさま『よろしくです!』というスタンプを先輩に送った。


 私と先輩は、目を見合わせて笑った。