背中越しの王子様

「…いた」


 息を切らした先輩が、目の前にいた。


「…よかったぁ…。お前急にいなくなるなよ」

 
「…ごめんなさい」


「で?…なんで逃げたの」
 

 心の中を見透かしたような目から、逃げられない。


「…先輩と一緒にいた女の人に嫉妬しました。ごめんなさい」


「俺と一緒にいた女?…あぁ、ココナか。…ココナは俺の1つ上の姉貴だよ」


 え、お、お姉さん!?


「言ってなかった俺が悪かった。…あ、てことはマシロ、俺が他の女を好きだと思ったってこと?」


「はい、そうです…」


 先輩もう私のことなんて好きじゃないかもなーって思いました。


「そんなことあるわけないだろ。…俺にはお前だけだよ」


 …っ!?


 先輩の言葉を聞いて、一気に顔が熱を持つ。私たちが見つめ合っていると、


 ドォォォオン!


 光の玉が夜空に線を描き、大きな花火となった。


「…そうだ、射的の罰ゲームだけどさ」


 あ、そういえばまだ言ってなかったっけ。


「"これからもずっと俺のそばにいること"にするわ」


 …なんて素敵な罰ゲームだろう。


「…もちろんです!罰ゲームじゃなくてもずっとそばにいます」


 私と先輩は横に並んで座った。


 たくさんの夏の花が咲く下で、私たちは手を繋ぎ、温もりを感じていた。