「…っていうことがあったんだ」


「へぇ」


 私は学校に着くなり、友達のヒマリに今朝のことを話した。


「それでさ、私…好きな人できたかもしれない」  


「え、それってその王子様?」


「うん…」


 男子から守ってくれた王子様に、一目惚れしたみたい。


「そっかぁ…あの男子嫌いのシロがねぇ」


 私が男子嫌いになったのには理由がある。


 それは小学2年生のことだった。



 私はいつも友達といっしょに帰っていた。


 でも友達の家よりも私の方が家が遠く、途中から1人で帰っていた。


 そしていつの日からか、私が1人になるのを待ち構えたみたいに、3年生の、たしかタクヤくんっていう男の子が来たんだ。


「おいチビ!お前ぼっちかよー」


 タクヤくんは私に向かってチビだのバカだの悪口を言ってくる。


 そういった日々が、タクヤくんが突然いなくなる4年生の夏休み前まで続いた。


 このことがあってから、私は男子が嫌いになったんだ。




「まぁ、私は応援するよ!…その王子様の顔見たことないけどね」


「ありがとう、ヒマリ!」