背中越しの王子様

 先輩に話すと言ったが、今日の放課後はミナと遊ぶ約束。


「やっほー、シロ!久しぶりー!!」


「ミナ!久しぶり!」


 半年ぶりくらいに会ったミナは、高校生になってさらに大人っぽく感じた。


 それぞれ飲み物を頼んで、最近のたわいもない話をした。


「そういえばシロって、高校どこだっけ?」


「N高校だよ」


 私がそう答えると、ミナは安心したような顔をした。


「よかったぁ!…あのさ、小学生の頃のタクヤくん覚えてる?」


 ミナは私と小学生から中学生まで一緒。だからタクヤくんのことも知ってるんだ。


「…うん、覚えてるよ」


 …忘れられるわけない。


「タクヤくん、今S高校に通ってるらしいから、シロと違うし、反対方向だからよかったな、って思って!」


 え、タクヤくん、S高校なの…?


「…ミナ、タクヤくんの名字ってなんだっけ?」


「うーん…“月"は付いてたよーな…?」


 月…?え、まさか…。


 その後ミナと話しながらも、ずっと嫌な予感がしていた。