ミク、と呼ぶ声はいつもより甘い。


「キス、していい?」


「やだよ。誰に見られるかも分からない、こんな公共の道で」


ロマンの欠片もない。自分で言いながら、そう思う。


「大丈夫。傘で隠れるから」


その言葉の後、近づくサクヤに何も言い返すことなく、あたしは瞳を閉じた。


雨がしとしとと降る中、重なる唇は熱く、あたしの体温を紅潮させた。