ねぇ、サクヤ。


その言葉と同時に、背中側から回した腕で、サクヤを引き寄せる。


「これで、サクヤの肩も濡れないでしょ?」


サクヤは優しいから、傘をあたしの方へと傾け、あたしを優先させる。


例え、自分が濡れようと。


実際、サクヤの左肩は雨が染みている。


ん、とあまり聞かないような声を漏らしたサクヤは、すぐにフイっと顔を背ける。


でも残念。あたしにはサクヤの真っ赤に火照る耳が丁度よく見えるの。


照れているサクヤもかわいい。


そう思って、また、にやにやと笑ってしまう。


「さっきの仕返し」


そう言って、サクヤはあたしの肩をグッと引き寄せた。


想定外に近くなる距離に、2人して紅くなる。