私は右手に暖かさを感じて目を開けた。


「…ワカナちゃん!大丈夫…?」


「ヒナ先輩…」

 
 右手の暖かさはヒナ先輩だったんだ。


 私は熱中症で倒れたらしい。まぁ中学でも運動してなかったし。


 まだ部活中だったから私もやろうと思ったけど、ヒナ先輩に大事をとって休んでと言われ今日は帰ることにした。


          ・


 プルルルルッ。プルルルルッ。


 夜、部活が終わったゴオから電話がきた。


「…ワカナ、大丈夫か…?」


「うん、大丈夫だよ。…もしかして責任感じてる?」


 電話のゴオの声が明らかに元気がない。


「うん、俺がワカナをマネージャーに誘ったから…」


「ゴオのせいじゃないよ。私の体力不足。…私、マネージャー楽しいよ?」


「そっか…。ワカナ、まだマネージャー続けてくれる?」


「もちろんだよ!頑張ろうね、ゴオ」


「…よし!俺、頑張る!」


 ゴオの声が明るくなった。


 ゴオに心配かけちゃダメだ。私は改めてそう思った。


 窓の外の月が、夜の街を明るく照らしていた。