「よーし、なにから教えてもらおうかなー」


 図書室に着いた私と如月くんは、机に向かい合って座った。


 まだテスト期間が始まったばかりだからか、周りに人はほとんどいなかった。
 

 目の前に座る如月くんは教科書類を机の上に出して、中をパラパラと見ていた。


「そうだ。七瀬さん、数学教えてよ」


 数学かー…。


 得意なのは得意なんだけど、教えられるかな…。


「しっかり教えられるかどうかはあまり自信がありませんが、それでもよければ…」


「うん!ありがとう」


 そして私たちは、テスト範囲の問題を次々に解いていった。


「…七瀬さん、これどうなるの?」


「えっと、これは…」


 如月くんは、わからないところがあるとすぐに聞いてくれる。


 人に教えることで私自身が本当に理解しているかどうかも確認できるので、一石二鳥だ。


 そして如月くんはその問題を理解できると、


「あっ、わかった!ありがとうっ!」


 と、満面の笑みで私に言うから、その度に胸がキュッと締め付けられるんだ。


 …うん、これはやばい。


 私、このまま1週間続けられるかな…?