そう胸を弾ませていると、


「ねぇねぇ七瀬さん」


 と、如月くんに話しかけられた。


「は、はいっ!」


 私は急に話しかけられて、少しビクッとしてしまった。


「あ、ごめん驚かせた。…あのさ、七瀬さんって頭いいよね?」


「えっ?」


 えっ、急にどうしたの?


「…お願いしますっ!俺に勉強を教えてくださいっ!」
 

「…えっ!?」


 私が、如月くんに勉強を教える…!?


 そういえばあと1週間くらいで、高校最後のテスト。


 そろそろテスト勉強を始める時期にある。


 いや私は自分の取り柄は何があるかって聞かれたら、勉強ですって答えるくらい勉強しか得意じゃないんだよね。


 まぁ得意って言っても普通より少しできるくらいだけど。


「いやいや…私、人に教えるの上手くないので…」
 

 というか、教えたこともない。


「大丈夫!…七瀬さん、お願いっ!」


 如月くんは両手を合わせて私にお願いをする。


 その姿から、必死さが伝わってきた。


「…わかりました、私でよければ」


「よっしゃあ!ありがとう、七瀬さん!」


 と、如月くんは私の両手を、彼のそれで包み込んだ。


 …っ!?


「よし、俺これでもう赤点回避決定!」


 しかし、その手はすぐに離れていった。


 はぁ、はぁ、急にびっくりした…。


 本当に心臓に悪いっ…!


 私はドキドキする胸を抑えながら、


「いや、まだ赤点回避って決まったわけじゃないですよ…」


 と言った。


「いや、七瀬さんに教えてもらえれば大丈夫だよ!…じゃあ今日からよろしくね!」


 えっ、今日から…?


「テスト勉強、今日からするんですか…?」


「うん!」


 如月くんと一緒にいれるのはとても嬉しい。


 でも長い時間一緒にいたら、心臓こわれないかな…?