「つむぎ〜!」


「莉子ちゃん!」


 制服の胸に花をつけた莉子ちゃんが、涙目で私に抱きついてくる。


 今日は遂に卒業式。


 莉子ちゃんは大学が県外だから、県内の大学の私とは離れてしまう。


「私つむぎと離れたくないよ…!」


「私だって莉子ちゃんと離れたくないっ…!」


 2人抱きしめ合っていると、


「姫野、ちょっとつむぎ貸してくれない?」


 如月くんが私のもとにやって来た。


 姫野とは莉子ちゃんのこと。如月くんの言葉に莉子ちゃんは、『あ、どうぞ』と言ってくれた。


 待って、そういえば如月くん大学海外なんだよね?


 もしかして、別れ話…とか…?