だけど、私は1年生の頃からほとんどまともに話したことがない。


 3年生で同じクラスになってからも、如月くんと話す機会がない。


 というか、話しかける勇気がない。


「つむぎから話しかけてみればいいのに〜」


「いやいや、私には無理だよ…」


 如月くんは私にとって雲の上の存在。


 話したい。けど、話せない。


 …あーあ、私にもっと自信があったらな。


 そんなことを考えるけど、私が如月くんに話しかけている場面なんて、想像もできない。


「そっかぁ…」


 莉子ちゃんが少し残念そうな顔をしたその時、教室に先生が入ってきて、クラスメイトが次々に席に着き始めた。


 莉子ちゃんも慌てて席に着く。


「みんな、おはよう。それじゃあホームルームを始める」


 先生が連絡事項を話している間、私は私とは反対の廊下側の1番前に座る如月くんを見ていた。


 如月くん…。


 今はもう2月の始め。このまま話せずに卒業するのかな…?


 なんてそんなことを考えていると、先生の口から、ある言葉が聞こえてきた。


「それでは2月にもなったことだし、席替えを行う」


 せ、席替え!?


 これって、もしかして如月くんの近くになれたり…しないよね。