テストが終わると、教室は一気にバレンタインモードになった。


「つむぎはあの人にあげるの?」


 あの人、とは如月くんのこと。


 あと3日でバレンタインだから、作るならそろそろ始めなければいけない。


「…ど、どうしようかな」


 私がそう言うと、莉子ちゃんは少し驚いたような顔をした。


「え、莉子ちゃんどうしたの?」


「いや、つむぎ、少しでもあげる気があるんだ、って思って…」


 確かに、以前の私なら「いやいや、私なんかがあげるなんてありえないよ!」って全力で拒否したはず。


 でも如月くんと話したり、一緒に勉強したり、デート…したりして、少しずつだけど自分に自信が持てるようになったんだ。


「うん、あげたい。けど、どうしよう」


「一緒に作ろうよ!こう見えて、私結構お菓子作り得意なんだよ?」


 莉子ちゃんが一緒に作ってくれるなら心強い。


 しかもあと1か月くらいでここを卒業する。


 それなら後悔しないほうがいい。


「うん…私、如月くんにあげる…!」


 私がそう言うと莉子ちゃんは笑って、


「うんうん!頑張ろう!」


 と言ってくれた。


 そうして、私と莉子ちゃんのバレンタイン大作戦が始まった。