「でさ、ちょっとお願いがあるんだけど…」


「お願いですか?」


 なんだろう?


「これから俺の家に来て勉強会の続きしない?」


「えっ!?いっ、家ですか…!?」


「うん。もう明日がテストだし、これから図書室戻るのもな〜って思って。…俺の家、イヤ?」


 いや、嫌なわけではないんだけど…。如月くん、いろいろ急すぎ!


「お、お家の方は大丈夫なんですか?」


「あー、うち親いないんだ。今海外行っててさ」


 あっ、そうなんだ。


「だからさー、七瀬さんお願い!」


 あっ、やっぱり名字に戻すんだ…。


 『…つむぎ』


 彼がそう私の名前を呼んだ声が忘れられない。


 もう、呼んでくれないよね…と少し残念に思いながらも、


「…わかりました」


 と、返事をした。


「よっしゃ!…七瀬さん、あと1日よろしくね」


 私は如月くんのその言葉にうなずいた。