「はぁ、はぁ、はぁ…」


 私は校舎から外に出たところで、荒れた息を整えた。


 でも走っていた時には忘れていたさっきの光景が、立ち止まると鮮明に頭の中に蘇ってしまう。


 そして、胸がチクリと痛んだ。


「あの2人、付き合ってたんだ…」


 じゃあなんで如月くんは私と勉強会をしたんだろう。


 それも2人きりで。


「…もう、わかんないよ…!」


 下を向いていると、私の涙が地面を濡らした。


「私、失恋したんだ…」


 そう声に出すと、その事実がさらに私の胸をえぐった。


 まさかこんな形で失恋するなんて。


「…ふっ、…」


 涙が溢れて止まらない。でも、立ち止まっていては何も変わらない。


 私は流れ続ける涙を拭って、家に帰ろうと歩き始めた。