それから私と如月くんは、毎日図書室で勉強に取り組んだ。


 そして明日にまでテストが迫ってきた。


 そのテストに向けて、今日も図書室で如月くんと勉強をしていた。


「七瀬さん、これなんでこうなるの?」


「あぁこれはですね…」


 正面に座る如月くんに見やすいように書こうとするが、なかなかうまくいかない。


「うーん、見えにくいなぁ…。そうだ!」


 すると如月くんは席を立ち、椅子を私の隣に持ってきて座った。


「うん、これでよく見える!」


 如月くんの腕が私の腕に少しあたる。いい匂いが、鼻をかすめる。


 ちょ、近いっ!


 今までの勉強会で少しずつ慣れてはきたが、こんなに近いのはまだダメ…!


「…七瀬さん?」


 でも、ここで恥ずかしがってるのを態度に出したら如月くんに好きってバレちゃう。


 心を落ち着けて、冷静に、冷静に…!


「えっ…と、ここは…」


 好きな人の存在をすぐ横に感じながら、私はなんとか説明を始めた。


 私が心臓の鼓動と戦っているその時、


「伊織く〜ん、なにしてるの〜?」


 図書室の入り口の方向から、女子の声が聞こえた。


 えっ、だれ…?


 声のした方に目を向けると、そこにはクラスの女王様的存在の早乙女(さおとめ)結愛(ゆあ)さんがいた。


 なんで早乙女さんがここに…?


「えっ、早乙女?どうした?」


「どうしたって、伊織くんがいるからここに来たんだよ?」


「なんでだよ」


 2人が話している横で、私は呆然としていた。


 2人の世界に、私は入ることができなかった。