一瞬素通りしようかと思ったが、迷った結果結局そこに足を踏み入れた。



昨日、彩乃さんに呼び出されて待っていた、外灯の近くのベンチに腰を
わたしはおろす。



ワザと一人分座れるように。



那緒は、わたしの前に現れることはもう二度と無い。



それなのに期待している自分が心の隅にいて、思わず微笑した。



ーーけど。



ぽろりと、雫がこぼれ落ちて、制服のスカートの生地に見る見るうちに
しみ込んでいく。



それは、自分が泣いているせいだと気づいたのは、数秒経ってから。