ううん、それだけではない。



鈴木先生に説教されて、慰めてもらったきっかけで那緒と初めてであった時。



女の子たちに脅され、絶対守ると言ってくれた時。



そして、夜の公園で珍しく落ち込んでた那緒をわたしが、今度は安心
させるように自ら抱きしめた時。



わたしは、さっきの受付でもらったピンクの造花を、右胸のポケットの上に
おもむろに付けた。



この花……、那緒ももらえたら良かったな……、なんて思うわたし。



それから程なくして、暗いステージがパッと明るくなる。