「わたし妊娠したから、今度こそ那緒の前から消えてくれる?」



ーーへ? い、今“妊娠”って言った……?



呆然とするわたしに、今度は真正面に向き直って、勝ち誇ったように笑みを
浮かべる彼女。



「残念だったねー! わたしね、那緒としちゃってから、なんだか体調悪くて
病院に行ったら赤ちゃん出来ちゃったの」



本当はもっと言いたいことが、あるはずなのに口が震えて動かない。



そして彼女ーー、彩乃さんは最後に残酷な言葉を投げかけた。



「那緒と結ばれて結婚できるのはあなたじゃない。このわたしなのよ」