「那緒……、那緒っ!」



公園にやっとの思いでたどり着き、愛しい彼の名前を呼ぶ。



その時だった。



「ふーん、もう来たの、汐碇さん?」



わたしは思わず、「えっ……」と言葉を漏らして、後ろを振り返る。



那緒じゃない声の主に、わたしは聞き覚えがあったけど、その嫌な勘は
的中してしまった。



わたしの背後に立っていたのは、一人の女の子。



「え、と……、彩乃さんだよね。ど、どうしてここにいるの?」



「あのさぁ、聞きたいのはこっちなんだけど。わたし、言ったよね?
那緒に近づいたらただじゃおかないって」