“彩乃”と呼ばれた女の子は、ハッとして口を両手で覆った。 そして、気を取り直して彩乃という女はこう忠告する。 「と、とにかく、那緒には二度と近づかないで。もしこれを破ったら、ただ じゃおかないから。それじゃ」 そさくさと教室をでていく二人の姿が完全に見えなくなると、わたしは その場にへにゃりと座り込んだ。 那緒に近づくのがダメなんて言われちゃった……。 でも、今さらそんなこと出来るわけがない。 唯一学校で、気軽に楽しく話せるのは那緒だけしかいないからだ。