わたしは「うん、わかった」と返事をした。



そして、四十分間の授業終了のチャイムが鳴る。



ぞくぞくと、生徒たちが教室から出て行く中、わたしも廊下にでた。



空き教室で寝ている彼が、戸のガラス張りからチラリと見えたので、
わたしはその教室に入ってこう呼びかける。



「那緒、わたし授業終わったよ? レポート、やろう?」



「んーー、あ、出萌」



寝ぼけまなこを手で擦りながら、那緒はようやく起きてくれた。



そのあと、わたしは出来るだけ丁寧に、レポートに書かれた問題の解き方を
教えてあげる。