わたしは少し沈黙していたが、素早く口を開いた。 「それは、ダメ」 那緒は「は……?」と言葉をこぼして、ポカンとする。 「わたしが、勉強教えてあげるから、空いている時間に一緒にやろう? ね? その方が那緒の為になると思うよ」 「お、おう」 那緒は、後頭部をガシガシとかいて、目を不自然にキョロキョロさせている。 「? わたし、なにか変なこと言った?」 「い、いや、なんでもねぇよ! 俺、今日暇で学校来ただけだから、 出萌が授業、終わったあとでいいぜ」