そろりと振り返ると、那緒は女の子たちの輪を抜けて、こちらに駆け よってきた。 「えと、お、おはよ」 普通に挨拶したつもりが、どうしてもぎこちなくなってしまうわたし。 けど、那緒はこれっぽっちも気にしていないようで、突然こう言った。 「なぁ、出萌、あとでレポートの答え見せてくんね?」 わたしは「え……?」と言葉に詰まる。 「俺、提出するレポート溜まっててさ~、マズイんだよな~。だからさ、 ちょっと写させてくんねーかな? な、俺たち友達だろ?」