「おい、誰だよそこにいんの」



聞き覚えのある声に、え? と顔を上げると同時にわたしは、おもわず体を
凍りつかせる。



路地の入口からこちらを、覗き込んでいたのはーー、イケメンだけど、金髪
不良のあの男の人だったから。



「な、なんでもありませんっ………!」



わたしは地面に落としたスクバを掴んで、慌ててその場から、立ち去ろう
とした。



けど、がしりと後ろから手を握られる。



その触れた手は、体温が無く、冷たい。