「そんなことないよ。俺さちょうど今、東京で仕事してるんだ。んで、今日 休みだから実家に帰ろうと思ってたとこに、出萌からメールがきた。なんか 奇跡みたいじゃね?」 再び笑う那緒につられて、わたしも思わず微笑んだ。 それからしばらく、わたしは那緒と楽しく会話をして。 ーーそして。 「奥さんを大切にしてね」 別れ際にわたしは、笑顔でそう言うことができた。 「ああ、ありがとな。出萌も頑張れよ」 「………うん。わたし、この先も好きなのは、ずっと那緒だけだよ」