胸がドキンと大きく、今までになく跳ねあがった。 恐る恐る車に近づいて、頭に浮かんだ彼の名前を、半年ぶりに意を決して 口にした。 「あ、あの、見間違いだったらすみません。藍染那緒さんですか?」 半分ほど開いた車の窓は、音をたててゆっくりと全開する。 「めっちゃ、久しぶりだね。出萌」 いつか見た事のある、子供っぽい笑みはかわってなくて、そう思った途端に ひとしずくの涙がぽろりとこぼれてしまう。