彼は私のうなじにキスをされ、ゾクゾクと何かが首元を這い上がる。髪をお団子にまとめているのでうなじはガラ空きなのだ。私の首元に顔をうずめ、彼は甘い吐息を漏らした。くすぐったいような、じれったいような、不思議な感覚。彼のたくましい腕に包み込まれ、幸福感で胸がいっぱいになった。

「ずっとこうしてたいですね」

 耳元のすぐそばで囁かれてダイレクトに彼の低く響く声が鼓膜に伝わってくる。下腹部がキュンとなって思わず肩をすくめた。

「わ、私も同じこと思ってました」

「どうしたの?」

 まただ。

「啓之さんの声、破壊力やばすぎます…」

「耳、弱いですよね」

「あ…」

 耳を覆っていた手をどけられ、耳たぶを甘噛みされた。

「ひゃ」

 耳の形をなぞるように舐められて、しまいには耳の穴に舌を入れられた。クチュクチュという音がすごくエロティックだ。ゾクゾクが止まらない。

「あ、や、やばいですって!」

 私は彼の胸を押して彼から少し離れた。手で耳をごしごしこすっている私を彼はおもしろがって笑っている。彼はシャンパンを一口飲んだ。私も彼に倣って口に一口含む。

「あ、啓之さん、知ってますか?炭酸を口移しすると媚薬になるらしいですよ」

「媚薬?」

「やってみますか?」

「いいでしょう」

 彼はもう一口シャンパンを口に含んで私の唇を塞いだ。わずかに開けた口の隙間から彼が口に含んでいたものが喉に流れ込んでくる。