ちょっかいを出すのは私のくせに、いつも彼からの積極的な愛撫を受け止めるので精一杯。彼の手によって淫らな格好にされ、快感を与えられるのは私ばかり。私だって彼を気持ちよくさせてあげたい。

 ちらりと彼のスラックスの膨らみが目に入った。思い切って軽く膝を当ててみる。
「ちょっ、そこは」

 その部分は敏感になっているのか、彼は素早く腰を引いた。

「それ、そのままだと辛くないですか?」

「ほっとけば収まります。気にしないでください」

「いつも啓之さんばっかりずるいです。私にも触らせてください!」

 形勢逆転。

私は彼を押し倒し、スラックスの上からその膨らみに触れた。思い切って閉めていたベルトを緩め、ファスナーを下ろした。

「ああっ!だめですだめです!」

 布一枚の隔たりだけになったその膨らみはさっきより硬度が増し、大きくなっているようだった。手のひらで包み布の上から何度か優しくこすり上げてみる。

彼は声にならない声を上げ、私の腕を掴むが手を止めるか否か思いあぐねているようだ。もう片方の手が彼の顔を隠しているので表情は読み取れない。

少し強めに握ってみると、彼は小さな悲鳴のような声を上げて腰を浮かせた。

「そこまでですよ」

「きゃっ」

 私は彼に掴まれていた腕をぐいっと引っ張られ、彼の身体の上に倒れ込むような形になった。彼とぴたりと身体が合わさるように彼の両腕にがっちりと抱きすくめられてしまった。彼の硬くなったそれが丁度私の下腹部に当たっている。

「あ、あ、当たってます!」

「あなたが触っていたものですよ。もう」

「熱い…」

「ええ。そりゃあ血が集まっていますから、熱いですとも」

 いつも紳士な彼が、今は余裕がないようである。

「なかなか君もいやらしい子だね。そこまでするということは、覚悟はできているんだろうね」

「え、あ、まだ夕方ですけど…」

「そんなことは関係ないね。君が俺を煽ってきたんだろう」

 自分を「俺」と呼ぶときの彼はいつもに増して勇ましく見える。不敵に微笑んで私を横抱きにし、ベッドの上に下ろした。

「うんとかわいがってあげるよ」

 彼は宣言通り、私の身が蕩けてなくなりそうになるまでかわいがってくれた。