どうにもこうにも～恋人編～

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　会社のデスクで書類に目を通していると、上着の内ポケットの携帯電話が震えた。ロック画面に石原さんからのメールの通知が表示されていた。

『今日の夜、会えますか？』

　思わず口元が緩んでしまい、慌てて手で押さえた。しかし、そのあとに続く言葉に眉をひそめた。

『聞きたいことがあります。』

「聞きたいこと？」

　メールや電話ではなく、直接会って聞きたいこととは何だろう？

わざわざこうやって前置きするくらいなのだからよっぽどなことだ。手帳開いて今日のスケジュールを確認する。今日はそこそこスケジュールが詰まっていて帰りは遅くなりそうだ。

『帰りは8時くらいになると思います。私の家で待っていてくれますか。』

　メールを返してから数分後、彼女から返信がきた。

『お忙しいところすみません。待ってます。夕食作りましょうか？』

『是非お願いします。』と返信しておいた。

　彼女の厚意はとても嬉しいが、「聞きたいことがある」という言葉に不安は拭えない。何か気に障ることでもしただろうか。彼女に早く会って話がしたくて、仕事中も彼女のことが頭にちらついてどうしようもなかった。