どうにもこうにも～恋人編～

　付き合いたての私の恋人に、女性の影がちらついている。

ジャケットに入っていたイヤリングは誰のもの？

会社の人？

落とし物？

　高身長、高収入、容姿端麗、紳士で優しい彼をまわりが放っておくはずがないのに、何を呆けていたんだろう。今まで独身なのが不思議なくらいなのに。

そもそもその年になるまで結婚していないのは、彼に問題があるからなのだろうか？
実はDV男？

めちゃくちゃプレイボーイ？

あの彼からはまったく想像しがたい。

でもあのイヤリングは何？

「イヤリング？」

「そう、イヤリング。西島さんのジャケットのポケットに入ってたの。それってどう思う？」

　あのイヤリングを見つけてから数日後、学生会館内にある休憩スペースで、トモちゃんと一緒にレポートをしていたのだが、一段落ついたので恋愛に長けている彼女に相談してみることにした。

「会社で拾った落とし物か、浮気かの二択でしょ」

「やっぱりそう思う？」

「この前写真見せてもらったけど、西島さん、誠実そうで素敵な人じゃない？浮気するような人には見えないけどなあ」

「そうだけど、あんなにいい人なのに、42歳の今までずっと独身なんだよ」

「たしかに、見た目はいいし経済力もあって性格もいいときたら、まわりの女が放っておかないよね」

「実は、何か彼自身に問題あるんじゃないかって思うんだよね」

「西島さんとデートしてて気になることあるの？」

「いや、今のところはないけど…」