どうにもこうにも~恋人編~

 浮き出た鎖骨、厚みのある胸筋、脂肪が少なく凹凸がうっすらと見える腹筋にかけてタオルで拭いていく。

ああ、この身体にぎゅっとされたい。

 彼の後ろに回って背中を拭き上げる。大きくてきれいな逆三角形の背中。

ああ、ぎゅっとしたい。

 弱っている彼に親切なふりして邪な思いで頭がいっぱい。

「合法的に裸が見られてラッキーと思ってしまいました。ごめんなさい」、と心の中でひとりごちた。

「私の裸を見ていやらしいことを考えていただろう」

「なんっ!?」

「まさか図星かい?」

「違いますっ!」

「私が風邪を引いていなければ、君のことを抱いていたのに。残念だ」

「もうっ。早く着替えますよ」

 邪な思いを抱いていたのは私だけでなかったらしい。

 肌着とロングTシャツを着てもらって再びベッドに寝かせ、額に冷却ジェルシートを貼ってあげた。

 使った食器を洗ったりリビングのゴミを片付けたりしているうちに洗濯機が洗い終わったので、ベランダで洗濯物を干すことにした。幸い外は晴れていて洗濯日和だ。

ワイシャツ、スラックス、靴下…西島さんの身を包んでいる衣類さえも愛おしい。

「あ」

 西島さんのボクサーパンツ。彼のお尻を包んでいる下着。

ちょっとだけドキドキしながらピンチハンガーに吊るした。

このとき初めて男物のパンツには、前部分にふくらみがあることを知った。