「西島さん、汗びっしょりなんで、上半身だけでも拭いていいですか?」

「そんなことまでしてくれるんですか?」

 彼はのそのそと身体を起こした。

「あ、着替えはどこですか?」

「そこのクローゼットの中の衣装ケースから適当に」

 言われた場所から肌着とロングTシャツを取り出した。

「脱がせてくれる?」

「ぬがっ…!?西島さん、なんかエッチ」

 熱のせいか、彼の目はとろんとしている。やっぱりちょっとエッチだ。

「あ、顔から拭きますね」

 お湯につけたタオルを固く絞り、彼の前髪をかき上げて彼の額を拭く。汗をかいているせいで髪がへたっている。頬を拭くと、タオルが伸びた髭に当たってぞりぞりとした感触が手に伝わった。

彼が目を瞑っていることをいいことに、まじまじと彼の端正な顔を見つめた。年の割には若く見えるにしても、目尻や額に薄っすらと刻まれた皺を見るとそれなりに年齢を重ねてきたのだと分かる。20代のようなツヤはないが深みがある。

耳や首を拭いてから、いよいよ服を脱がせる。

「では、失礼します」

 パジャマのボタンに手をかけ、ひとつひとつ外していく。細身だが筋肉質な身体が露わになる。

右手の指先から腕の付け根にかけてタオルで拭いていく。血管の浮き出たそのたくましい腕がセクシーだ、なんて思ったりして。左腕も同様に拭いていった。

「じゃ、バンザイしてください」

「はい」

 彼は素直に両腕を上げた。肌着を脱がせて完全に上半身が裸になった。

「身体の前の方、拭きますね」