こうやって元恋人の彼女と普通に話せているのは、そしてこんなことを思い出してもただ懐かしいと思えるのは、5年という歳月のおかげだろうか。年下の恋人のおかげだろうか。
「髪、短くしたんだね」
5年前は緩くパーマのかかったダークブラウンのロングヘアをなびかせていた彼女は、髪色はそのままでショートボブにしている。心なしか化粧の仕方も昔と変わったようだ。
「育児をするには髪が長いと手入れが面倒なのよ。こっちの方が楽だわ」
そう言って髪をかき上げたときに、花を模したイヤリングがちらりと見えた。そう言えば、昔もよくイヤリングをしていた。
「そう。旦那さんと息子さんは元気かい?」
「まあね。息子はやんちゃ盛りよ」
「いいことじゃないか。今日は何でうちの会社に?」
「私、去年からある会社に再就職したのよ。小さな食品会社なんだけどね。新商品の共同開発のためにこちらの食品産業グループの商品開発部に用があったの。今後もちょくちょくこちらには来るわ」
「じゃあ、また会うかもしれないね」
注文していた料理が運ばれ、テーブルの上に置かれた。ハンバーグが鉄板の上でじゅうじゅうと音を立て、湯気とともに牛肉の香ばしい匂いが立ちのぼる。
俺たちはそれぞれハンバーグとカルボナーラを食べながら、仕事のことや彼女の子どもの話などをした。会計はそれぞれで支払い洋食屋の外に出た。
「あなたってやっぱり優しいわよね」
「別れるとき、君が俺に言ったことを覚えているかい?『あなたはただ優しいだけのつまらない男だ』って」
「髪、短くしたんだね」
5年前は緩くパーマのかかったダークブラウンのロングヘアをなびかせていた彼女は、髪色はそのままでショートボブにしている。心なしか化粧の仕方も昔と変わったようだ。
「育児をするには髪が長いと手入れが面倒なのよ。こっちの方が楽だわ」
そう言って髪をかき上げたときに、花を模したイヤリングがちらりと見えた。そう言えば、昔もよくイヤリングをしていた。
「そう。旦那さんと息子さんは元気かい?」
「まあね。息子はやんちゃ盛りよ」
「いいことじゃないか。今日は何でうちの会社に?」
「私、去年からある会社に再就職したのよ。小さな食品会社なんだけどね。新商品の共同開発のためにこちらの食品産業グループの商品開発部に用があったの。今後もちょくちょくこちらには来るわ」
「じゃあ、また会うかもしれないね」
注文していた料理が運ばれ、テーブルの上に置かれた。ハンバーグが鉄板の上でじゅうじゅうと音を立て、湯気とともに牛肉の香ばしい匂いが立ちのぼる。
俺たちはそれぞれハンバーグとカルボナーラを食べながら、仕事のことや彼女の子どもの話などをした。会計はそれぞれで支払い洋食屋の外に出た。
「あなたってやっぱり優しいわよね」
「別れるとき、君が俺に言ったことを覚えているかい?『あなたはただ優しいだけのつまらない男だ』って」


