「まったく、かわいい人ですね」

 慈しむような目でにっこり微笑まれて私の心臓は破裂寸前だ。

「もう…」

 私は頭に敷いてあったクッションで顔を隠した。彼はそんな私の頭をポンポンと優しくたたく。好きな人とこんなふうに過ごす日がくるなんて、幸せすぎて怖いくらいだ。

「そうだ。あなたにいいものをあげましょう」

 彼は別室へ行き、何かを持って来た。

「これ、合鍵です。いつでも私の家に来ていいですよ」

「いいんですか?」

「もちろん」

「私、毎日でも来ちゃいますよ?」

「いいですよ」

 彼はにっこり微笑んだ。


 一緒にいればいるほど離れがたい。「好き」が溢れて止まらない。こんな幸せな日々がいつまでも続けばいいのにと思う。

しかしそんなことは甘い幻想であることをのちに知ることになる。