―中学生 入学式―

……あの頃はほんとに酷かったな。
早すぎる展開。
小学生の頃はあれくらいの記憶しか残っていない。
残っている記憶は嫌がらせ、暴言。幼なじみによる酷い呼ばれ方。
理由も何もわからず、ただ泣いて、耐えて、傷ついて。
気がついたらひねくれた性格になっていて。

ほんと、笑っちゃう。

中学ではそんなことにならないように、人をよく見なきゃ。疑って、よく見て、気に入られなきゃ。

私「鈴木 琳です。趣味は音楽関係。1年間よろしくお願いします。以上です」

そしてまた、昔と同じように皆が順に自己紹介をし、担任が名乗り、休み時間になる。

……問題はここからだ。

どの人間とどう接するか。

(とりあえず話しかけないと始まらないかな)

「あ、の」

……?
なにか、おかしい。
私、こんなに喋る時声小さかった?
ほら、向こうの人に声なんて届いてない。
私、こんなに喋る時たどたどしかったっけ。

…なんで……?