直紀の父は呆然とした。


「そういう意味じゃない」


廉は私を指さして、笑って「見えないの?カップル服」と聞いた。


高橋家族は気まずい顔をしていた。


「これは俺の彼女、琉菜。この高橋健一(たかはし けんいち)さんは閑院財団子会社の副社長、琉菜、挨拶して」


私、怒っています。


直紀のお父さんは何も言えない。


直紀のお母さんが真っ先に言った。


「闲院さん、この女にだまされてはいけないよ。息子がいるんだから」


「わかってるよ。何の関係があるんだ。俺が瑠菜と結婚したら、空君も息子になるよ」


私の心は激しく震えている。


もしかすると廉の言葉はただ私を助けるために口にしたのかもしれないが、たとえ空が廉をお父さんと呼ぶことができなくても、廉の言うことを聞くことができて、もうとても幸せだ。


高橋家族は目を合わせていた。


結局、高橋健一は「勘違いです。直紀というクソ野郎は幼稚園では言うことを聞かない。瑠菜さんが直紀を教えてくれて、本当に感謝しています」と笑顔を見せた。


直紀のお母さんも、「そうですね。本当にありがとうございました。」


直紀はまだ子供だから、大人たちの颜がどうしてそんなに早くなったのか分からない。


直紀は「このブスは何者だ、何でおれを教训するんだ」と不服そうに叫んだ。