「お母さん、再婚しようと思うの」

そう聞かされたのはついさっきのことだった。

私、宮崎茉由は親が離婚している。

私はお母さんに連れられ、今の家で暮らしていた。

お母さんは再婚しないのかな?そう考えたのは何回だってあった。

だから……。

「おめでとう、お母さん!私賛成だよ!」

「茉由……。ありがとう」

そう言ってお母さんは満面の笑みになる。

私も笑顔。でも次の言葉で崩されることになる。

「お相手は鈴木君のお父さんよ」

鈴木君、鈴木遙は私の1番嫌いな相手。

「茉由?」

「だ、大丈夫、大丈夫だから!」

「そう?」

お母さんの再婚は嬉しかったけど相手の子供は最悪。

思わずため息をつくぐらいだった。





引っ越し当日。

それまで顔を合わせてなかった私たちだが引っ越し先の家で合わせることになった。

「茉由です。よろしくお願いします」

「そう固くならなくてもいいよ」

そう言ってくれたのはお義父さん。

優しい人とは聞いていたけど本当に優しい人だなぁ。

問題はもう1人。

「遙です、よろしく」

この淡々とした声が鈴木遙。

「よろしく、鈴木君」

「あら?遙君でいいんじゃない?」

「兄弟だもんね」

さすがに余計な一言だと思ってしまった。

「じゃあ遙、よろしく」

「こちらこそ、茉由よろしく」

表情は変わらないし仲良くなれる気がしない。

最悪な日常は幕を挙げた。