私、こんなに涙もろかったっけ…? 菱川くんと会ってから、少し弱くなった気がする。 私の前を通り過ぎる人たちは、こちらを一瞬見てギョッとするから、泣き止まないともっと変な目で見られちゃう。 そう思うのに、涙はとめどなく溢れるばかり。 …帰ろう。 そう思って立ち上がろうとした次の瞬間。 「…っ、千乃…!」 「…っえ?」 とても焦って息を上げている菱川くんが目に映り、私を呼び止めた。