菱川くんは甘めが好み


誰だろうと思いながらも入ると、今1番顔を合わせにくい人がいた。



「…っ!!菱川くん…っ?」



夕日に照らされた彼は、少し寂しそうな表情で窓際に立っていた。



「もしかしてもう帰ったかもって思ったけど、まだカバンが残ってたからいるんだろうなって。体調、大丈夫?」



体調が悪いなんて嘘なのに。



私を気遣うような言葉に、少し胸が苦しくなる。



「……うん、大丈夫。」