「これなら落ちないだろ?」

「うん…誕生石はお守りになるって云うから、いつも身に付けておくね」

貴一が私の為に選んでくれた指輪だし…とは口に出せなかったけれど。


そんなことを思い出しながら、ふと、自分だけが意識しすぎかな?と、消えもの以外を考えた。

悩んだ末、貴一の好きなスポーツブランドのジャージに。

「おー…これ、カッコいいなと思ってたんだよ、ありがとな!流石、明菜は俺の好みをわかっててくれる」

「それは、貴一だってそうでしょ?」

「まぁな」

「ジャージは何かと便利よ。私、出掛けない休日の部屋着も、寝るときも、いつもジャージ着てる。急に玄関に人が来ても、そのまま出られるし」

「合理的だな。てっきり、フリフリのネグリジェでも着て寝てるものかと」

「そんなわけないでしょ…」

そして、その晩は貴一のお宅で、いつもよりゴージャスな夕飯を私も一緒にいただいた。