「ただいま。」
「おかえりなさい。」
 母親だった。

「唯。ちょっと座って。」
 ソファから立ちあがろうとしたら、止められた。

「今、先生に聞いた。」

『え?援助交際のこと?』

「寂しかったんだね。更に、体調悪かったんだね。全然、気づかずごめんなさい。
 ゆいが高校に入学してから、仕事ばかりで話す機会がなくなったもんね。
 本当にごめんね。
 これから、もう少し話す時間作るね。」
「お母さん。無理しなくていいよ。」
「いや、無理はしてでも、ゆいとの時間を作る。」
「ありがとう。」

「ゆい。医者になるの、本当はイヤ?」
「それはない。医者にはなりたいから。」
「自分で決めたならよかった。」
「うん。後継とかはよくわかんないけど、とりあえず医者になりたい。」
「そっかあ。じゃあ、応援する。」

こんなに母親と話すのは久しぶりだった。