父の言葉が伶奈はとても嬉しかった。どこかオドオドしていた恵の手を掴み、伶奈は『お部屋で遊びましょう!』と言い、お人形遊びやおままごとをして遊んだのだ。

そして時は流れ、伶奈は二十歳に、恵は二十二歳になり、恵は伶奈に仕える執事となったのだ。

「小さい頃の恵は可愛かったのに、執事になったら口うるさい男になっちゃったわ」

花柄のピンク色をした振袖を着付けてもらいながら、伶奈はメイドに文句を言う。メイドはクスクスと笑い、髪の毛に豪華な髪飾りをつけていく。

「恵はお嬢様のことを一番に考えてらっしゃるのですよ。だって今日は、お嬢様にとって大切な日なのですから……」

「うん……」

着付けが終わると、部屋に立派なスーツと着物を着た両親が入ってくる。二人の顔はとても嬉しそうだ。

「とても綺麗よ。きっと、見初めてもらえるわ」

母がそう言い、メイクを施された頬に優しく触れる。どこか照れ臭く、伶奈はニコリと微笑む。

「そうだといいけど」