お昼前に車で出発


ランチは莉子が好きだと言う
回転寿司に入った

こういう飾らないところも好み


見晴らしの良いSUV車を気に入った莉子は

実家に着くまで上機嫌だった


二時間ほどかけて着いた莉子の育った家は

お母さんの趣味だという花が沢山咲いている可愛らしい家だった


「いらっしゃ、凄いイケメン」


ツッコミどころ満載の莉子のお母さんは
花に水をやりながら食い気味で出迎えてくれて


玄関ではお父さんとお兄さんが待っていた


「はじめまして、小笠原凛と申します」


丁寧に頭を下げると二人共笑顔で招き入れてくれた

リビングに通されてからも
和やかな雰囲気に少し力の入っていた肩から力が抜ける


「先週莉子が寝惚けて“凛さん”って言ったのを
女友達だと思って叱ったんだけど
彼氏だったなんて、ねぇ」


実家に帰った日の莉子の様子が分かって
俺は嬉しかったが

莉子はかなり恥ずかしかったようで

「もう良いから」とお母さんの口を止めていた


そんな和やかな雰囲気を壊すようで心苦しかったが


避けては通れない話をするために背筋を伸ばした


「今日、伺ったのは・・・」


包み隠さず話すために
手のひらに受けた傷のことも


もちろんオネェ口調で店をしていることも

莉子に話したことと同じことを莉子の家族に曝け出した


それを聞いた上で

「莉子をよろしく頼むよ」とお父さんに言われた瞬間

胸がいっぱいになった


だが、今回の目的はここまでじゃない


収入の話まで深掘りする


「絵も売れるには売れますが
基本的な収入源は不動産と投資です」


それを真剣に聞いてくれるお父さんと
相槌を打ってくれるお母さんとお兄さんに

これから先の生活が安定していることを話して


「莉子さんと結婚させてください」


最後は丁寧に頭を下げた