リビングに戻ると新しいワインを開けた


眠った莉子を思い浮かべながら
臣に電話をかけた


(どうなった?)

「上手くいった」

(マジ?)

「あぁ」

(良かったな、凛)

「あぁ、色々サンキュな」

(良いって)


高揚した気分のまま
莉子とのやり取りを臣に報告して


少し気分が落ち着いてから
莉子の眠るベッドに入った


起こさないように
そっと抱き寄せて


もう一度オデコに口付けて目蓋を閉じた



・・・良かった



良い方に転がったから言えることだが


本当に良かった



明日は一緒に起きようと決めたところで


微睡む意識を手放した




・・・



ピピピ、ピピピ・・・



「おはよ」


「・・・っ、おはよう?」


「なに焦ってんのよ」


「だって」


俺の腕の中で目覚めたのがよっぽど恥ずかしかったのか


莉子は頬を一瞬で染めた


「そんな可愛い顔してると
朝から喰われても文句ないよな?」


「・・・・・・、・・・っ!」


寝起きの頭では理解にタイムラグがあったのか

数テンポ遅れて目を見開いた莉子は
どうやら言葉が出ない様子


「ウソウソ!馬鹿ねぇ
中学生じゃあるまいに、朝から盛るわけないでしょ」


オネェ言葉で助け舟を出すあたり
俺もどうやら莉子には甘いらしい


「・・・モォ」


「なによ」


「朝から揶揄ってぇ」


「だって莉子ったらブス」


「・・・は?」


泣いて寝たのだから想像も出来そうなのに


俺の彼女は自分のことに無頓着だ


「早く起きてアイシングしなさいよっ」


「・・・うん」


「高嶺の花なんでしょ?」


「凛さんまで言わないで」


「アンタ、分かってると思うけど」


「ん?」


「浮気なんかしたら、舌を引っこ抜いてやるからねっ」


「すっ、る訳ないじゃん。怖っ」


「高嶺の花を咲かせてるかどうかは
青木と真澄と沢田に聞くんだからねっ」


「あ〜やだ、三十男のヤキモチって」


「ちょっ、なによっ」


「はいはい、起きるよ〜凛さん」


「ん」


いつも通りのやり取りに
やっと胸が楽になって


手を繋いで起き上がった